一眼レフを買ったはいいが、「思ったより上手く撮れてない・・・・。」という初心者の方が私の周りには多いです。結婚式等で撮った写真を実際に見せてもらうと、「ピンぼけ」していたり、何を撮りたいのか伝わってこない写真や、会場の様子がひたすら撮影されている盗撮写真や、妙に暗い写真だったり等々・・・。今日は初心者からワンランクあがれる撮影テクニックを紹介していきたいと思います。
「結婚式」という撮影ポイント
披露宴と結婚式では「式場カメラマン」といわれるプロのカメランが常駐しています(外部委託が基本と思いますが)。当然プロのカメラマンですから、撮影に失敗することはできません。しかしながら披露宴や結婚式は初心者カメラマンにとっては難所が多いのです。どんなところなのかおさらいをしておきましょう。
一瞬一瞬が名場面
新郎新婦がいる場所すべてが名場面です。扉が開く瞬間や、バージンロードを歩いている横顔、後ろ姿、指輪の交換・・・。挙げたらキリがありません。結婚式と披露宴はすべてが名場面です。
結婚式と披露宴
ちょっと掘り下げます。
結婚式では親族及びお客さんは椅子に座ってバージンロードを新郎新婦が歩いて、牧師さんの前で愛を誓います。みんな新郎新婦の歩いている横顔を写真に収めようとしますが、実際歩いている人の写真を撮るのは難しいですし、会場の雰囲気を壊してはいけませんので、ここではプロに任せて、式の厳格な感じに浸りましょう。
披露宴では結婚式と違って、基本やりたい放題です。ただし、暗くなったり明るくなったりと条件がコロコロと変わり、撮影者を苦しめます。でも会場内を動き回ってどこでも写真を撮れますので、楽しみながらいろいろな写真を撮りたいですね!
太陽光と照明と暗転とキャンドルサービス
先の項目でも書きましたが、条件がコロコロと変わります。結婚式の後は外で鐘を鳴らしたり、暗い会場でスポットライトを浴びていたり、明るい照明になったり・・・。コロコロと変わる状況に対応できるように事前準備をしっかりとしておきましょう。
結婚式には禁句!?「やり直し(撮り直し)はできない!
当然新郎新婦最高の瞬間に「すいません!撮り直しさせてください!」なんて絶対禁句です。せめて「いい感じですねぇ!もう一枚いいですか!?」等、うまい言い訳を考えておく必要があります。プロカメラマンのプレッシャーはハンパではないでしょう。
「結婚式」に最低限用意したい機材とは?
結婚式・披露宴の会場のイメージはなんとなくできましたでしょうか。次に最低限必要な機材の紹介をします。
カメラ本体(一眼レフカメラ)と標準レンズ
言うまでもありませんが、カメラ本体と標準レンズが必要です。カメラは色々なメーカーから色々なタイプの一眼レフタイプが出ていますが、「一般的な一眼レフ」をお勧めします。この記事は一眼レフカメラを使うことが前提としていますが、一眼レフカメラがお薦めの理由はまた詳しく書きます。
外部ストロボは必須アイテム
資金的に余裕があれば、というより結婚式で写真を撮るなら「外部ストロボ」は必須アイテムです。なぜなら「光を制すもの、写真を制す」(私が勝手に言い出した)って言葉があるくらい写真を撮るには光が重要です。日中の明るい時でさえストロボあるだけで被写体の表情の写り方が変わります。今現在持っていなくて、検討をしている方は、ぜひ用意してもらいたいです!できれば上位機種の標準でレフ板がついているものがお薦めです。なぜならバウンス撮影をしたときに被写体の表情を明るくとることができるからです!あと目に光が入り、イキイキした表情にもすることができます。
望遠レンズがあれば撮れる写真
望遠レンズは必須ではありませんが、望遠レンズで撮る写真として、
・ひな壇でこっそり会話している新郎新婦の自然な表情を切り取ることができる。
・カメラに警戒している子供の自然な表情を撮ることができる。
・結婚式で指輪の交換する瞬間を自分の席から狙える
等々です。カメラをちゃんと見ている写真もいいですが、自然な表情をこっそり撮っておくともらうほうは喜んでくれます!
小物類
あと小物類で重要なのが、予備バッテリーです。カメラの電池もそうですし、ストロボの電池も新品の電池を入れて撮影に臨み、他に予備の電池があれば、ベストです。撮影しすぎて電池の消耗が激しくなってしまい、チャージに時間がかかってしまうと撮りたかった写真を撮るときに取り損ねてしまう可能性があります。是非用意しておいてください。
三脚に関しては結婚式や披露宴では動き回ることが前提となりますので、特別用意をする必要はないと思います。
忘れていましたが、レンズの汚れを拭き取れるウエスは用意しておきましょう。人がいっぱいいるのでレンズを触れてしまうかもしれませんし、料理の写真も撮ることでしょうから油が付く可能性だってあります。備えあれば憂いなし!
失敗しないカメラの設定とテクニック
さて、いよいよ本題です。ちょっと難しいと追われる部分もあるかもしれませんが、撮影を成功させるためには最低限押さえておきたいテクニックを紹介します。
シーン別お薦め「撮影モード」
知っているとは思いますが、私が今までカメラを使ってきた経験上でシーン別のおすすめを紹介します。
常時使用可能なおすすめ「撮影モード」
これはもちろん「P=プログラムオート」です。これは自動でカメラがシャッタースピードと絞りを決定してくれます。「明るすぎず暗すぎず」の写真を撮れるようにカメラが自動で設定をしてくれます。とにかくシャッターを切りまくるっていう状況の時はこのモードであれば明るくても暗くても間違いがありません。ただし、ISO感度の設定は暗い時と明かる時で変更をしておいた方がいいです。会場の雰囲気が出るように試し撮りをして変更をしておくのがお薦めです。ただどのくらいに設定すればいいか見当もつかないという方は明るい時はオートで暗い時だけ「ISO1600」等に設定をすれば良いと思います。暗い時は手ぶれしやすいですから、ISO感度の設定を変更し対策をしたほうがいいでしょう。
小物撮影と顔アップでの撮影時にお薦めの「撮影モード」
「Av=絞り優先モード」です。名前の通り絞りが優先されるモードです。簡単に言うと背景をぼかした写真を撮りやすくなります。アップにするには当然レンズも望遠側にしますが、ここで絞りが「解放(開ききった)」状態にしておくことが大事です。絞りとはいわゆるファインダー内にある「F値」の事です。これはレンズの性能に依存します。レンズに「28~55mmF3.5~5.5」みたいな事が書いてあれば「F3.5」が絞り解放状態の数値となります。ファインダーを覗きながらF値が小さくなるようにダイヤルを回し、設定をしてみてください。
普段は「P=プログラムオート」を使い、ここぞというときに背景をぼかした写真を自在に撮れるようになれば、「一眼レフカメラ初心者」は卒業ですね!
オートフォーカスのフォーカスポイントは必ず中心に固定する
カメラも高性能化が進み、カメラが自動的にフォーカスポイントを決めてくれます。しかしせっかく被写体に近づいて撮っているのに後ろの壁にピントが合っていて肝心な被写体の顔がボケているなんていう写真は恥ずかしてだせませんよね?そこで、フォーカスポイントを中心で固定の設定をしてください。オートフォーカスポイントは動くものを連続して撮るときなどはとても便利な機能ですが、被写体をボケさせないために必ず中心に固定をしてください。理由は次で説明します。
ピント合わせは必ず新婦の目元で!
結婚式、披露宴もそうですが、主役は絶対にだれが何と言おうと新婦です。なぜなら、結婚式当日を迎えるために一番努力をしたのは新婦でだからです。もし新婦が写っていない写真を撮るのであれば必ず女性の目線にピントを合わせましょう。女性の顔にピントが合って、適度な明るさで写真が取れれば、だいたい写真は華やかに見えます。
で、ここすごく大事なので、もうちょっと詳しく説明をします。
先ほど設定したフォーカスポイントとは別にカメラは自動で明るさを決める機能が付いています。カメラはだいたいファインダーの中心部で明るさを決めてくれます。要するに「ピントの合ったところの明るさを基準に露出(明るさ)を決めて」くれます。(フォーカスポイントを固定した前提)ここで、勘のいい方は気が付いたかもしれませんが、よくプロのカメラマンが構えたままカメラの角度を微妙に変えているのはピントと露出(明るさ)の決定をするために、基準となる場所をカメラに教えてあげているからなんです。
なので撮影の手順として
①ズームレンズで画角を決める(写す場所を決める)
②レンズはそのままで、画角内にいる女性に中心部のフォーカスポイントでピントを合わせる(自動で明るさが決まる)
③元の画角に戻してシャッターを切る。
これだけで、ピンボケしない適度な明るさの写真が確保されます。撮影している姿も「プロっぽい」です(笑
ストロボは「バウンス」が基本
「バウンス」とはストロボの光を反射させて光を部屋全体に回したり、フラッシュの光が直接被写体に当たらないように調整をする事です。明るい室内だとしても、バウンス撮影する事で被写体の背景が明るくなり写真の印象がとてもよくなります。逆に直接被写体にストロボを向ける場合もありますが、「フライデー」に掲載されるような写真になってしまいますから注意が必要です。直接被写体に向けるシーンとしては新郎新婦がキャンドルサービスで各テーブルを回りながらテーブルの人と記念撮影をするときです。あとは屋外で撮影をするときもそうですが、直接当たるとやはり背景が暗くなってしまう場合がありますから、ディフューザーを用意しておくとよいでしょう。
「キャンドルサービス」はストロボを停止
ストロボの話の続きになりますが、キャンドルサービスをしている時はあえてストロボを切る場合があります。暗いシーンだからといってバウンス撮影してしまうと、せっかく幻想的な雰囲気が壊れてしまいます。キャンドルの炎で人の顔が写るくらいの感じが出るように、ISO感度を上げて手ぶれ対策をしながら撮影をしましょう。
まとめ
今回の記事では「結婚式・披露宴」とはどういう場所かを確認し、必要な基本的なカメラのテクニックや設定内容を書かせてもらいました。カメラはどんどん高機能となり自動化が進んでいますが、写真自体を撮るのはやはり自分しかいません。結局良い写真を撮れるかどうかは「あなたの腕次第」ということになります。せっかく一眼レフを手に入れたのに、ただシャッターを切るだけなのが、もったい無いのは言うまでもありません。
ただ、今回説明した内容はカメラの設定をちょっとの工夫をしただけです。結婚式だけでなく人の撮影をする時に「使えるテクニック」ばかりなので、子供の写真を撮るときにも応用してみてください!
次回は応用編として「結婚式・披露宴の喜ばれる写真」について紹介をしていきたと思います。